EU共通会社法「EU Inc」が交渉段階へ 2日・100ユーロの設立案、まだ施行ではない

EU理事会は2026年10月23日、域内で事業を広げる企業向けの新しい会社法制「EU Inc」について交渉方針を採択しました。公式発表の表示時刻は同日11時39分。10月24日8時10分(日本時間)に内容を確認しました。

目指すのは、27カ国それぞれの制度に加え、企業が選べる共通の「第28の制度」。オンラインで2日以内、登録費用は最大100ユーロという仕組みが提案されています。ただし、今回成立・施行した法律ではありません。

国境を越えて成長する企業の手続きを軽く

EU Incは、スタートアップや成長企業がEU単一市場で活動し、投資を受けやすくするための枠組みです。各国の会社法を一律に廃止するのではなく、既存制度と新制度を企業が選択する設計です。

理事会の方針では、行政との情報交換やデジタル株式登録の手続きを簡素化する一方、資金洗浄やテロ資金供与、その他の犯罪に関する理由で加盟国が登録を拒否できる管理も設けています。登録の速さだけでなく、不正利用を防ぐ審査との両立が焦点です。

出典:EU理事会・10月23日発表

背景は、国ごとに異なる会社制度

10月19日付の理事会交渉文書は、欧州委員会が3月18日に示した提案を背景にしています。国ごとに会社制度が異なることが、企業の越境展開を複雑にしているという問題意識からの改革です。3月の提案や10月19日の準備文書そのものを、10月23日の新しい決定と混同しないことが大切です。

日本の読者にとっても、EUで会社設立や事業拡大を検討する企業、現地企業と取引する事業者には関係する動きです。ただし、会社法の選択肢が増えることと、税、労働、社会保障などの制度がすべて統一されることは同じではありません。個別の適用条件は最終条文で確認する必要があります。

関連資料:10月19日付・理事会交渉文書

次は欧州議会との交渉

今回の採択は理事会の交渉方針を正式に定める段階です。欧州議会が立場を決めれば、制度の最終化に向けた交渉に進めます。

理事会案には加盟国の実施準備期間を21カ月とする内容がありますが、これを「10月23日から21カ月後に必ず利用開始」と読むことはできません。最終合意、正式な採択、公布や適用日が今後の確認点です。現時点で、新制度による会社登録の受付が始まったとは確認できていません。

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